溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「くっついてるだけなら……いいです」
「ありがとう。キスは?」
私の耳の脇に顔を移動させてきた彼が、耳朶に軽く口づける。ビクッと肩が跳ね、ますます顔に熱が集中する。
「だ、ダメです! くすぐったくて、指を切り落とします」
「そうか、仕方ない。じゃ、このまま大人しくしているよ」
大人しくしていると言ったって、彼の体温や息遣いを間近で感じることに変わりはない。
ドキドキ鳴る心臓のせいで手元が震え、時々本気で指を切ってしまいそうになった。
それでもなんとか全部の材料を切り終えて炒め、水を入れて鍋で煮込み始める工程までたどり着く。
あとはアクを取って、野菜が柔らかくなったところでルウを入れるだけ。維心さんがくっついていても問題ないだろう。
そう思って、ふっと肩の力を抜いたその時だった。今までウエストに絡められていた彼の手が不意に胸もとに移動し、サマーニットの上からギュッと膨らみを包み込んだ。
「ちょっ……」