意地悪な副社長との素直な恋の始め方


そんなことを考えかけ、そんな考えを追い払うように頭を振る。


(我慢できないから、こうなったんでしょ? とにかくいまは、カレー作って、シャワーして、シゲオから貰ったパックをして、寝る!)


Tシャツにショートパンツというだいぶ身軽な部屋着に着替え、キッチンへ戻ると電子レンジをフル活用し、時短手抜き料理を作りまくった。

キーマカレー、かぶやニンジン、きゅうりを瓶に詰め込んだピクルス、ピーマンのきんぴら、かぼちゃとベーコンのキッシュ、青椒肉絲、なすとパプリカの甘酢炒め……等々。食欲がない場合も考えて、ミネストローネも作る。

完成した料理を冷ましている間に、シャワーをし、念入りにお肌のお手入れ。
キッチンへ戻り、冷ました料理を小分けにしてパッキング。
料理名をラベルに書いてから、それぞれの解凍方法を記したメモを冷蔵庫に貼り付ける。

栄養バランスは完璧! とはいかないけれど、コンビニ弁当や高級レストランでの食事を続けるよりは、多少ヘルシーなはずだ。


(たぶん、毎日家では食べられないだろうし、これで一週間くらいはもつかな? そろそろ……)


ふと時計を見れば、もう真夜中だった。
明日は大事な面接兼カメラテストがある。夜更かしは厳禁だ。


(もう、寝よ……って、ど真ん中で寝てるし!)


朔哉は、ベッドの上で大の字になって眠っている。


「もー、ちょっと退いてよぉ……」


無理やりその身体を転がして、下敷きになっている毛布を引っ張り出し、スペースを確保。
やれやれ、と思いながらその隣に潜り込んだ途端、羽交い絞めにされた。


「ちょ、朔哉!?」


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