意地悪な副社長との素直な恋の始め方
「でしょ? ジョージくんにお願いすれば、メイクシーンとかを撮るのも可能だろうし」
「やってみます!」
さっそくシゲオに、「お願いがあるから、近々時間を作ってほしい」とメッセージを送った。
それからは、先日コウちゃんと訪ねた山村で撮った写真のフィルムを現像、プリント。
デジタルとフィルム、それぞれの出来の善し悪しや改善点など、いつもなら凹んでしまうようなコウちゃんの厳しい指摘も、もっと言って! と思う。
明確な目標が定まると、俄然やる気に拍車がかかるものだ。
いくつかの課題とお褒めの言葉をいただいて、三日後の助手アルバイトを了承し、そろそろ事務所をあとにしようかと時計を見れば、十七時を回っていた。
「わ、もうこんな時間っ!? コウちゃん、もう行くね?」
「月子さんのところ?」
「そう!」
月子さんの撮影をするときは、前日の夜からお泊りをするのが定番化しつつあった。
スケジュールが許せば、外食、もしくはおうちご飯を一緒に食べ、いろんな話をする。
自伝の前半部分に使うことになる、若かりし頃の月子さんの写真を眺めたり。
月子さんが出演して評判の良かった映画、悪かった映画を観たり。
びっくりするような大物芸能人との過去の恋バナで盛り上がることもある。
そうやって、おしゃべりしている中で、撮りたいシーン、月子さんが残したいシーンをすり合わせ、翌日撮影に臨むのだ。
もちろん、「イイ!」と思えば、事前の打ち合わせにないシーンを撮影することもあるし、打ち合わせしていても、撮らずに終わることもある。
あくまでも月子さんの「女優」業の妨げにならないよう、演技に集中している時は、邪魔をしないことにしていた。
女優の顔も魅力的だけれど、撮りたいのは女優ではない月子さんだから。