意地悪な副社長との素直な恋の始め方


「チャペルを含めた全施設の正式なリニューアルオープンは来月だ。けど、来週末に、プレスや関係者を招いたプレオープンを企画してる」

「え? プレオープン?」


祭壇の前に立ち、間近に見上げるステンドグラスの美しさに感心していたら、スルーできないワードを耳にする。

横に立つ流星を振り仰げば、こちらを見下ろす彼と目が合う。


「実際に宿泊してもらい、スタッフの練度やサービスの質はもちろん、設備の善し悪しや使い勝手など、最終チェックをするんだ。それと……模擬挙式でリニューアルしたチャペルを紹介し、模擬披露宴で料理と『Claire』の新作カラードレスもお披露目する」

「それって……」


模擬挙式に模擬披露宴。
それらに必要不可欠なのは、『Claire』のドレス。実物の動く人間。新郎新婦。花嫁と花婿。

つまり。


「わたしと流星さんがやるの?」

「おまえと俺以外に、誰がやるんだよ? デザイナーから、モデルは偲月でと指名されているのに、代役を立てるわけにはいかないだろ。もし、偲月が今回のオファーを断るなら、別のデザイナーのドレスを使用することになるな。つまり、プロジェクト自体が白紙になる」


何でもないことのように淡々と話す流星に、こちらの方が慌ててしまう。


「ちょ、ちょっと待ってよ! 誰もやらないなんて言ってない! ブライダルサロンで見た『Claire』のドレスは本当にすばらしかったし、このホテルもすごくステキ。わたしがモデルをすることで、これから式を挙げようとしているひと、そうじゃなかったひとも、あのドレスを着てみたいと思ってくれるなら、すごく光栄なことだと思う。けど、」

「けど?」

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