意地悪な副社長との素直な恋の始め方
気持ちの整理なんてまったくついていないし、簡単にそれができるとも思わない。
けれど、あんな風に喧嘩別れしたままでは、いつまで経っても気持ちは落ち込んだまま、浮上できそうにない。
「あ、あれは、そういうんじゃなくて! 大キライ……って言ったけど、でもキライではない。というか、心にもないこと……ではないけれど、でも、それがすべてじゃなくて……。その、キライではあるけれど、スキでもあるというか……」
仲直りするのに最適な言い訳や説明なんて何も知らないから、とにかくありのままの気持ちをを言うしかない。
だから、ぐちゃぐちゃモヤモヤしている気持ちを説明することになって、ぐちゃぐちゃモヤモヤしているから、自分でも何が言いたいのかわからない説明になって……。
歯切れの悪いわたしにイラッとしたシゲオに、ぴしゃりと叱られた。
「まわりくどい! ハッキリしなさい! 朔哉のこと、スキなの? キライなの? それとも、どうでもいいの?」
「それ……いま言わなきゃダメ?」
「いま言わなきゃ、いつ言うのよ」
(正直に話すのが一番だとは思うけど、でも、いまのところスキが六割、キライが三割、どうでもいいが一割……なんて、言ってはマズイ気がする……)
「……あとで」
「あとでって、いつよ?」
「え……だから、あと……で……」
「偲月……アンタねぇ……」
「こ、ここでは言えないこともあるの!」
「つまり、言えないような答えだってことね?」
「つまり、キライってことか」
「そうじゃない! 流星さんはちょっと黙ってて! だから、キライとかそういうことじゃなくて……」
否定はしたけれど、朔哉は表情は強張ったままだ。
(そんな顔、させたいわけじゃないのに……)
都合よく、一気にわだかまりやモヤモヤが消えて、いきなりハッピーエンドになんてなるはずもないとわかっている。
けれど、どうしてすんなりいかないのだろう。
(わたしが上手く説明できないのが悪いんだけど……)