意地悪な副社長との素直な恋の始め方


今日は、午前中に事務所で花夜さんと一緒に契約書に目を通し、正式な契約を結ぶことで合意。午後は、ウォーキングとヨガのレッスン。帰宅してからは身支度に忙しく、スマホは着信を確認する程度にしか触れていなかった。

完全に、充電のことなんて頭になかった。


(コンビニで充電……いや、そんな時間ない。とにかく間に合えば大丈夫なんだし!)


人通りが少なく、走れそうなところは走り、そうでないところは早足で歩くこと約三十分。
約束の時間を五分ほど過ぎてはいたが、なんとか待ち合わせの駅に辿り着いた。

駅の中。何だかよくわからない金属製のオブジェのあたりに朔哉の姿を探す。

立ち止まり、辺りを見回して、行き交う人の合間にやたらと目立つスーツ姿の男性を発見。
手にしたスマホを睨んでいるのは、朔哉だ。


(いた! けど……怒ってる……?)


またしても遅刻してしまったのは申し訳ないが、今回は理由が理由だ。
とにかくまずは謝って、それから説明しようと考えながら、再び歩きだした途端、朔哉が顔を上げてこちらを振り返った。

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