意地悪な副社長との素直な恋の始め方
「無理じゃないし! シゲオ、流星さんとそんなに身長変わらないし!」
「そ、そうですね! タキシードも内側で小細工すれば、さほど見苦しいことにはならないと思います!」
「シゲオ!」
「ジョージさん!」
シゲオは、わなわなと震えていたが、叫んだ。
「無理よっ! わたしが祭壇の前で愛を誓うのは、イケメンだけよっ! 偲月じゃないわ!」
「お芝居なんだから、関係ないでしょ!」
「無理無理無理! 絶対に、むぅーりぃーっ!」
抵抗するシゲオをどうやって言いくるめようか、必死に考えを巡らせていると、考え込んでいた芽依がパッと顔を上げた。
「代役、何とかなりそう」
「え? ほんと?」
「うん。だから、偲月ちゃんは安心して、花嫁役を務めて。あとで、迎えに来るから!」
にっこり笑った芽依が、足早に去っていくのを見送って、ヘナヘナと椅子に座る。
さっきとは別の意味で、足が震えている。
「ハジメってば……何があったのかしら?」
流星は、理由もなく仕事を放り出すような人間ではない。
よほどの事情があったのだと思われる。
けれど、それを考えるのは、あと。
無事に、挙式と披露宴を乗り切ってからだ。
顔も、姿も、想像さえできない花婿の横で――。