子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 保名さんは私と目を合わせようとしなかった。

 見たくもない、と言いたげに逸らし、眉根を寄せて私の腕を掴む。

「理由なんてひとつだけか。――俺を誘惑しようと思ったんだろ」

 直接触れた保名さんの手がひどく熱くて、正直に言うと少し怖かった。

 でも、ようやく私を見た彼の瞳も同じくらい熱っぽくて、怖いという気持ちがすぐに霧散する。

「誘惑、されてくれますか……?」

 自分で言ってしまってから、ずっと彼を求めていたのかもしれないと気付く。

 保名さんが信じられないものを見るように目を見開くと、掴んでいた手に力を込めた。

「本気で言ってるのか」

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