子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「別に責めてるわけじゃない。人は二面性のある生き物だって忘れてただけだ」

「……そうですね」

 認めるとは思わず、意外に感じる。それとも彼女は、二面性のある身近な人間に心当たりがあるのだろうか。

「保名さんの周りにも、そういう人がいるんですか?」

 思った通り、彼女は俺の周りに“も”と言った。

「ああ、両親がそうだ」

 彼女が顔を上げて、次の言葉を促すように俺を見る。

 しっとりと潤んだ瞳に胸が騒ぎかけるも、これまでしていたように目を逸らして事なきを得た。

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