子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 家に着くと、保名さんは私をリビングのソファに座らせた。

 冷蔵庫から皿に乗せた水まんじゅうを持ってくると、目を合わせないまま差し出してくる。

「どうして……」

「食いたかったんじゃないのか?」

 確かに食べたかったけれど、ここで促されるのは不思議な気がした。

「甘いものを食うと落ち着くしな」

 彼は、人前でパニックに陥り、泣いてしまった私を気遣ってくれているのだ。

「……ごめんなさい。取り乱して泣くなんて」

 恐る恐る水まんじゅうを受け取ると、彼は難しい顔をして息を吐いた。

「俺にはおまえがわからない。聞いていた話と違いすぎる」

< 161 / 381 >

この作品をシェア

pagetop