子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 びくりと手が震えて、持っていた皿を落としそうになる。

 再びごめんなさいと言おうとしてから、本当に離婚されてはかなわないと慌てて口を閉ざした。

 そんな私の考えを悟ったのか、保名さんが曖昧に苦笑いする。

「離婚したくないのか? こんな微妙な結婚生活を送る方が面倒だろ。そこまでして俺と夫婦でいる理由はなんなんだ。妹から奪ったものだから、自分のものにしておきたいとか?」

「そんなふうに思ったことは一度もないです。私は……」

 好きだから側にいたいだけだと言いかけたものの、保名さんの顔を直視してしまい、顔が熱くなる。

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