子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 誤魔化すように急いで残った水まんじゅうを口に入れ、味わう前に飲み込んだ。

「私は、なんなんだ。言いたいことがあるなら言えばいいだろ」

「……なんでもないです」

「なんでもない顔か、それが」

 保名さんが私から皿を取り上げ、空いたもう片方の手で顎を持ち上げる。

 顔を背けようとしたけれどもう遅く、一度合った視線を逸らせなくなった。

「うつむく癖があるよな。いつも下を見てる。俺と目を合わせるのが嫌なのか」

「違います。保名さんの方こそ、よく目を逸らすと思うんですが」

「おまえの狙い通りになりそうで嫌だったからな」

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