子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「顔は隠さなくていい、むしろ見せろ。声も好きなだけ出していいから」

「で、でも……」

「やめてほしくないならそうしろ」

 それだけは嫌だったから唇を引き結ぶと、なぜかふっと笑われる。

「怖くなったら言えよ」

 保名さんの手が帯に伸びて緩めていく。

 キスを繰り返しながら、きれいに整えられた私のすべてを暴くように。

「や……変なとこ、触らないで……ください」

「じゃあ、やめるか?」

 呼吸さえままならなくなった私を見下ろし、保名さんが言う。

 気付けば私は、彼に向かって首を横に振っていた。

「やめないで……」

 顔を見せろと言われたけれど、やっぱり手で隠してしまう。

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