子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「やっと……妻として役目を果たせるんですよね。だから、やめないでください」

 保名さんと繋がっている手に、ぴくりと彼の反応が走った。

 再び、やや強引に顔を隠す手を脇によけられ、心をこじ開けるように見つめられる。

「保名さんなら怖くない、から……」

 自分でもどうしようもできないくらい、あなたが好き。

 子どもの頃に絆創膏を貼ってくれたあの時から、保名さんの存在だけが私の心のよりどころだった。

 彼の冷たさがどんなにつらくても、与えられた優しさの分、私も返せるものを返したかった。

「最後まで、してください」

 優しくしてほしいと言わなかったのは、必要を感じなかったからだ。

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