子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 保名さんは初めて出会った時からずっと私に優しい。

 嫌っているはずの私を守ってくれて、落ち着くようにと甘い和菓子を用意してくれた。

 保名さんが息を呑んで、再び私の唇を奪う。

 美しい着物を乱されていく背徳感は、彼に与えられる悦びに塗り替えられた。

 唇へのキスも初めてだったのに、肌へのキスも経験する。衝動的なものを感じさせながらも、どこか労わるような気遣いと甘さが刻み付けられていった。

 されるがまま、熱くなった吐息をこぼすだけの私を、保名さんは怒らなかった。

 なにもできなくていい、わからなくてもいい、と肌に触れる指と唇が教えてくれる。

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