子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 見ただけでなく、触れもした。ほどよくついた筋肉は、こもる熱のせいかしっとりと汗ばんでいて、私の体温まで高まったものだった。

 昨夜の情事は夢ではなかったのだと彼が私に再認識させたせいで、もう顔を上げていられない。

「服はこれでいいのか?」

 ゆったりと大きめのサイズをしたワンピースを、ベッドの上に放り投げられる。

「待ってるからさっさと着替えろ。朝食が冷める」

 待っているとはどういうことだろう。不思議に思いながらも、背を向けた保名さんを気にしつつ着替える。

 こっそり彼を盗み見ると、寝癖の付いた髪から覗く耳が赤くなっている気がした。

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