子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 こんなちょっとしたやり取りからも保名さんとの心の距離が縮まったのを実感するが、だからこそ気付きたくなかった事実に気付いてしまった。

 ――保名さんは私に一度でも好きだと言ったことがあっただろうか?



 その夜、保名さんは帰宅するなり私の手を引いてソファに座らせた。

 自分は床に膝をつき、私を見上げる形で話しかける。

「おまえ、なんかあっただろ」

 適当に言っているのではないと、彼の目を見ればすぐにわかった。

「別になにも……」

「嘘吐くな。おまえから電話してくるなんて普通じゃない。家族になにを言われたんだ?」

 両手を握られながら尋ねられ、息が止まりそうになる。

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