子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「ごめ――」

「怒るぞ」

 こくんと頷いて、後頭部に回った保名さんの手に従う。

 彼の腕の中に引き寄せられると、今日一日ずっと抱いていた不安が溶けるようだった。

「弥子と結婚し直す話は、本当?」

「はあ? なんで俺が。もうおまえがいるだろ」

「私と離婚して、もともと結婚するはずの弥子とやり直すんじゃないの?」

 母と弥子のした話は、半分信じて半分疑っている。

 保名さんから違うというひと言をもらいたいがために、涙を堪えて彼の手を握り返した。

「もしそのつもりなら、嫌」

 自分でも思いがけずはっきりと大きな声が出た。

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