子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「若輩者ではありますが、同じ『日本の伝統文化を伝える』という志を持つ者として、僭越ながらお話させていただきたいと思います」

 保名さんはイベントの意義や、今後の目指すものなど、自身が後を継ぐ久黒庵の話と絡めながら上手に話した。

 記者たちが何度もシャッターを切る中、保名さんは久黒庵で試験的に出した生クリーム大福について触れる。

「正直に言うと、うちは伝統的な和菓子だけでいいんじゃないかという思いが強かったんです。確かに洋を取り入れた和菓子は増えていますが、久黒庵がやる必要はないんじゃないか、と。ですが……ある女性と出会って、ひとつの考えに固執しすぎるのは損をするだけだ、と気付きまして」
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