子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
どくんと心臓が大きく跳ね、少しずつ速度を速める。
「こういうものだ、と決めつけて大切なことを見逃すのはもったいないですよね。だから今回、試験的にではありますが挑戦してみました」
久黒庵が出した新作の生クリーム大福は、販売を始めて一時間もしないうちに完売した。挑戦が失敗したのか成功したのかは、火を見るよりも明らかだ。
保名さんが私を見て、微かに笑った。
「このような場で恐縮ですが、ともに久黒庵を支えていく妻を紹介させてください」
琴葉、と名前を呼ばれ息が止まりそうになるも、温かい眼差しに導かれて一歩踏み出す。
背後で両親と弥子の戸惑いと驚きを感じた。