子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「この子は男を騙すのが得意なんだよ、葛木さん。なにを言われたかは知らないが、琴葉の話こそ嘘だ」

 父が心底そう思って保名さんを落ち着かせようとしているのは伝わる。

 咎めるような視線が痛くてうつむこうとすると、保名さんが私の腕を掴んだ。

「そこまで言えるほど、琴葉が問題を起こしたところを見たんですか?」

「実際に幼い頃から手が付けられない子だった。それは葛木さんより、私たち親の方が詳しいと思うがね。店の品物に泥を撒かれた時はどうしようかと思ったよ」

「琴葉がやったところを実際に見たんですね?」

 保名さんは同じ質問を、語気を強めて聞いた。

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