子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 今日ようやく、自分でも保名さんのためにやれることがあるのかもしれないと思えたほど、普段は彼のためになにもできない。

「別に琴葉がなにもできない役立たずでも構いません」

 きっぱりと言い切った保名さんの言葉に、下げていた視線を上げる。

「できないことがあれば俺が手伝う。その代わり、俺にできないことを琴葉に助けてもらう。夫婦とはそういうものでしょう」

 やっと顔を上げられたのに、胸がいっぱいになって泣きそうになる。

 保名さんが私の代わりに戦ってくれるなら、私だって家族と向き合わなければならないと思っているのに、下を向かなければ涙がこぼれてしまいそうだ。

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