子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む

 なにも言えなくなったふたりとは違い、弥子はますます激昂したようだった。

 振り上げた手が私の頬を勢いよく張るのを、他人事のように見る。

 乾いた音が響き渡り、じんと痛みと熱が広がった。

「どんくさいだけの女のくせに、きれいごとを言うだけで男を転がせるなんていいよね! あんたみたいな女を悪女って言うの、知ってる?」

「おまえ、よくも……っ」

 保名さんが私を背に庇い、弥子に詰め寄ろうとした。

「待って!」

 咄嗟に彼を止め、私を守ってくれる背から弥子に向かって踏み出す。

 彼を矢面に立たせて、自分だけが隠れていてはきっとなにも解決しない。

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