子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 私自身が彼らに立ち向かわなければ、これからも繰り返してしまう。

「私を嫌っててもいい、悪女って呼んでもいい。だけど保名さんだけは譲りたくない」

 琴葉、と保名さんが私を呼んだ。

「これまで自分が我慢すればいいんだと思ってた。だからそうしてきたけど、もう絶対に嫌。だって保名さんが好きだから……!」

 遠い日の、少しぶっきらぼうながらも絆創膏を巻いてくれた幼い彼が脳裏によみがえる。

「弥子は保名さんがいなくても生きていけるでしょ? でも私は、保名さんがいなかったら生きてこられなかった」

「は? 気持ち悪い。なに悲劇のヒロインぶってんの?」

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