子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「弥子には私を叩いて、罵るしかできないよね」

 今まで知らなかったどす黒い感情が胸の内から湧き上がった。

 反撃に出た私に動揺を見せる弥子へ、衝動のまま自分の思いをぶつける

「あなたがなにをしても、もう保名さんは私を疑わない。それがわかってるから叩いたんだよね? 自分の思い通りにならない時、いつもそうやってぶってたもの」

 かっかと自分の中が熱くなるのを感じながら、今度は両親を見る。

 父や母の顔を直視することに怯え、なにを言われるのか恐ろしくてうつむいていた自分は、今は心の奥深くに押し込められていた。

< 294 / 381 >

この作品をシェア

pagetop