子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 ごろごろと入った野菜は中まで火が通っておらず、青臭かった。

 もしかしたら、なんて思うべきではなかったのだろう。彼に微笑みかけられる日など、期待したところで叶うはずもないというのに。

 こんなひどいものを保名さんに食べさせてしまったのが、ひたすらに申し訳なくてつらかった。

 望まれない妻でも、せめて役目を果たせればと思ったのに、私が保名さんのためにできることなんてひとつもないのかもしれない。



***



 保名さんとの生活はある意味順調だった。

 私は料理以外の家事をこなし、彼と会話もなく一日を終えることも少なくなかった。

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