子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 カードは渡されたものの、保名さんが食料や総菜を買ってきてくれるおかげで買い物の必要もない。

 最初は許された範囲の掃除を徹底的にして時間を潰していたけれど、それも一週間と経たなかった。

 母にやり直しを要求されていた時の方が有意義に時間を使えていた気がする。手を動かさずにぼんやり窓の外を見る、などという過ごし方をせずに済むからだ。

 実家からの連絡は、当然のようにない。

 彼らが保名さんに私の嘘を教えたのは、きっと歪な結婚を誤魔化すためなのだろう。

 でもそれで三人が幸せなら、それでもいいかと思ってしまう。

 これまでと変わらないのだ。私が我慢すれば、それで丸く収まる。

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