追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
 このままの装具で北に向かえば、北方領域に到達する前に隣の領地「ブリタニカ公国」で凍死してしまうだろう。

 黙ったままのプリシラを訝しんでルルが訊ねる。

「……てか、お前なんも考えてなかっただろ?」 

「そ、そんなことあるわけないでしょ! シュラウべの森を出たときから考えてたわ! ちなみに、準備するならどこがいいのかしら?」 

「え? ええと……この近くに村があったと思うから、そこがいいと思うけど」

「よし!」

 プリシラはひょいとバジリスクの背に乗る。

「ほら、さっさとその村に行くわよ! ぐずぐずしてるとすぐ冬が来て、サン・マルタン砦が通行止めになっちゃうでしょ!」

 サン・マルタン砦は、今プリシラたちがいるラインド王国の「ヘッセン伯爵領」と北の「ブリタニカ公国」の境に設けられた関所だ。関所はヘッセン伯爵に仕える騎士が守っているが、通行税さえ払えば問題なく通ることができる。

 だが、冬の時期になると話は変わってしまう。雪によって封鎖されることがあるのだ。

 そうなれば、数ヶ月はブリタニカに入ることができなくなってしまう。

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