追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
 ただの猫ならまだしも、大精霊が言うと冗談には聞こえない。

「まあ、とにかくさ」

 プリシラが小さく手を叩いた。  

「村では食べ物は買わない。他に必要なものと言ったら防寒具だけど、それはブリタニカに行かないとだめかもね。春に防寒具を売ってる店なんてないだろうし、最悪、買えなかったとしても魔獣にモフればいいし」

「それは遠慮させてもらってもいいかな?」

 即座にクロエが提案を断った。

「じゃあ、とりあえず必要な物資を補充したら、すぐにサン・マルタンに向けて出発だな!」

 ひょいと二本足で立ったルルが声高に叫ぶが、プリシラは乗り気ではなさそうだった。

「え?? どうせなら一晩泊まらない? ここんところ、ずっと野宿続きだったじゃん?」

「……」 

 ルルが唇を尖らせるプリシラを冷ややかな目で見る。

「早く行かないとサン・マルタン砦が封鎖されるって言ってたのは誰だよ」

「そうだけどさ、たまには暖かいところで寝たいでしょ」

「興味ないね。寝られればどこでもいいだろ」 

「あとは温かい食べ物とかさ」

「……温かい食べ物?」 

 ルルの長い耳がピクリと動く。

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