追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
「ワインとかシュナップスとかビールでお腹いっぱいになって、フカフカのベッドで寝る……最高じゃない?」

「ワイン……シュナップス……ビール……じゅるり」

 ルルは滴りかけたよだれとともに否定の言葉を飲み込んでしまった。

 いつもは用心深く、何よりもリスクを避けたがるルルを説得するためには食べ物や酒の力を借りるのが一番だとプリシラは熟知していた。

 結局、魔獣ジビエ料理以外を口にしたいクロエは反論すらせず、村で一晩の宿を探すことになった。 

 広大な農地を両脇に臨み、プリシラたちは教会がある村の中心へと向かう。

 教会のすぐ近くに建てられている酒場はずいぶんと立派だった。入り口に「入店にあたり、ブーツの泥を取ること、音を立ててスープを飲まないこと」と注意書きがされている。

 面倒だと思ったプリシラだったが、ルールに叛いて面倒ごとが起きても嫌なので渋々ブーツの泥を落として扉を開いた。

 店内には客はおらず、がらんとしていた。ここに人が集まるのは、農夫たちが仕事を終えるもう少し遅い時間なのだろう。

「おや、見ない顔だな?」

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