追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
 やはり明日になったら村を出てアメリアという街に行くしかないのだろうか。面倒だなあと思って渋い顔をしていたら、どうやら気分を害したと思われたらしい。

 店主が慌ててカウンターの向こうから飛び出してきた。

「かっ、代わりにと言ってはなんですが、お食事は用意させていただきます!」

「え? 食事?」

「はい。あまり豪勢なものは出せませんが、葡萄酒にニシンの塩漬け……あとはシチーなどをご用意できます」

 シチーという言葉を聞いて、プリシラは思わず涎をごくりと飲み込んだ。

 シチーは伝統的なキャベツをベースにしたスープのことだ。マトンやジャガイモなどを煮て作られているため「食べるスープ」と呼ばれている。

 プリシラも森にいたときは魔獣の肉を使ってよく作っていた。

 旨味が凝縮したスープと酸味が効いたライ麦パンとよく合うため、浸して食べるのがとてもうまいのだ。贅沢品ではないけれど、あの味がプリシラは大好きだった。 

「うちの葡萄酒は混ざりっけなしの一番煎じなんですよ聖女様!」 

 すかさずパナムが付け足す。今度は肩に乗ったルルがごくりと唾を飲んだ。

< 46 / 85 >

この作品をシェア

pagetop