追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
 プリシラが窓の外に視線を向けると、パナムを助けたあの森が広がっていた。村へと続く道には収穫を終えて農具を片手に帰路についている農夫たちも見える。

 もうすぐこの酒場も仕事を終えた農夫たちで溢れかえるのだろう。

 それを考えると、彼らよりも先にパナムのシチーを口にできるのはラッキーなのかもしれない。

 それからしばらくクロエに明日向かうアメリアのことを聞いていると、何やら素朴な香りが漂ってきた。

「お待たせしました!」

 豪勢なものは用意できないと言っていたけれど、パナムが運んできたシチーは、ふんだんにマトンが使われているとても豪華なものだった。

「……なんだかすごくない?」

「えへへ、聖女様に美味しい料理を食べてもらおうと思って、ちょっと気合を入れすぎてしまいました」

 パナムは「てへ」とおどけて、シチーが入った鍋とぶどう酒が入った瓶をテーブルに置く。すかさずぶどう酒に反応したルルが「酒を注いでくれよ」と、そっとプリシラに耳打ちした。

「この子にお酒をあげてもいい?」

「え? それは、構いませんけれど……猫にお酒をあげても平気なんですか?」

「……ッ!?」

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