追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
 森の魔獣といえば昨日遭遇したあのバジリスク「ちょめちょめ」だろう。触覚魔法でテイムしたので指笛でいつでも呼ぶことができるが、今はあの森で待機しているはずだ。

「いえ、違うと思います。痕跡を見た者に聞いたのですが、『痕跡の近くで白い巨大な動物を見た』と言ってました」

「白い巨大な動物」 

 ぴくりとプリシラの眉が動く。

「それで、そのまま放っておくと村に危害が及ぶと心配した父が村の男たちと森に向かったのです」 

「……え」

 まさか、とプリシラは唖然としてしまった。 

「ちょっと待って。村の男って農夫のことよね? まさか、農夫たちだけで魔獣を狩りに行ったの?」

「その通りなんです。村の男たちは農作業の合間で鹿などを狩りに行くことはありますが、魔獣を狩った経験などありません。もちろん父もです。なのに自分たちで現れた魔獣を狩ると息巻いていて」

「む、無茶ですよ、そんなの」

 クロエが思わず割って入った。彼の意見はもっともだ。魔獣が出た際は領主を頼るか「冒険者」と呼ばれる魔獣専門の傭兵に頼むのが一般的なのだ。

 プリシラが再び訊ねる。

「どうして村の男たちだけで?」
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