追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください

「街道が封鎖されているからです。村一番の早馬を出しても道が封鎖されていてはオハラ様の元に辿り着けるかどうか……」

 ブリタニカの北部で起きた魔王軍との衝突に端を発したヘッセン伯爵の街道封鎖。北への街道が封鎖されたことで、道は立ち往生した商人や旅人で溢れかえっている可能性がある。そこを抜けて伯爵の居城がある首都ベルハイムに向かうのは困難を極めるだろう。冒険者に魔獣討伐を依頼するにしても同じだ。

 それを考えると、パナムの父親たちの行動は仕方がないのかもしれない。

 褒められたものではないし、無謀すぎる選択なのだが。

「はじめからプリシラ様たちにお願いしようと考えたのですが、『これ以上迷惑をかけるのはダメだ』と父に止められてしまいました。ですが……やっぱり相談したほうがいいと思って」

「……ふむぅ」

 プリシラは腕を組むと、何やら難しい顔で考え始める。

 しんと静まり返った部屋の中に、ベッドの上で丸まっているルルの寝息だけが流れる。

「ねえパナム。さっき『白い狼みたいな魔獣』って言っていたけど、痕跡のこと詳しく教えてくれない?」

「え? 痕跡ですか?」 

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