追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
「そう。一体どんな痕跡だったの?」

 パナムはしばらく考える。

「……ええと、猪の死骸があったと言っていました。でも、ただの死骸じゃなくて何かが食べた跡のようなものです」

「死骸、ね」 

「それと、何か強い力で薙ぎ倒されている木がいくつか」

「ふむふむ。他には?」 

「あとは、白銀の毛が散乱していたと聞きました」

「白銀の毛……多分、村の人が見たっていう白くて巨大な動物の毛ね」 

 パナムが静かに頷く。プリシラは指を折りながら続けた。

「獣の死骸に倒木、白銀の毛。十中八九、魔獣だけど……ちょっと気になるわね」 

「うん。確かに気になる状況だ」

 そう言ったクロエは神妙な面持ちだった。

「あのバジリスクだけじゃなくて別の魔獣も現れたとなると、流石におかしすぎる。まだ春先だから獲物に困って南下してきたってわけじゃないだろうし、何か目的があって村に近づいてきた可能性が高いよ」

 パナムがギョッと目を見張った。

「もっ、目的ってなんでしょうか?」

「例えば魔王カタルスカヤが差し向けた先兵、とか……」

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