追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
 北の領邦ブリタニカ公国が魔王軍の侵攻を受けたのはつい先日だ。ここまでかなりの距離があるとはいえ、魔王が先兵として魔獣を放っていてもおかしくはない。

「……ん?」 

 と、クロエの目に拳を小さく振るわせているプリシラの姿が映った。

 ひょっとすると、怒りに震えているのだろうか。

 プリシラが討伐隊に参加していたのは「治療師の能力で傭兵を助けたい」と思ったからなのだ。追放された身だとはいえ、魔王軍の被害が広がっていくこの状況に、義心が沸き起こるのは当然のことだろう。

 そう考えたクロエだったが──     

「間違いない! 現れたのは『ダイアウルフ』だわ!」

 嬉々とした表情でプリシラが立ち上がった。

「猪を狩っていたということは肉食の魔獣に間違いないし、木がいくつも折られているのはダイアウルフの『聴覚魔法』によるものだわ! 白銀の体毛が落ちてたと言っていたし、森に現れたのは間違いなくダイアウルフね!」

 興奮するプリシラとは正反対に、クロエがげんなりと肩を落とす。

「……興味深いって、そっち?」

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