追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
 森はバジリスクと遭遇したときとなんら変わらず、寝静まっているかのような静寂に包まれていた。

 この森は「オレガノの森」と呼ばれているとパナムは言っていた。それが正式名称なのかはわからないが、オレガノがよく採れるから村人たちの間でそう呼ばれているらしい。

 昔から呼び名として使われていたものが定着して正式名称になるというのは珍しい話ではない。大抵の村も歴史を遡っていけば、なんとなく呼んでいたものがそのまま名前になったということが多いのだ。

「なるほどな。俺が寝てる間にそんなことになってたのか……ふぁ」

 森に入る前に「森の管理者」たる精霊に祈りを捧げているプリシラの頭の上で、ルルがあくびを噛み殺した。

 どことなくルルが不機嫌なのは、自分抜きで話をまとめられてしまったからだろう。用心深く、どんな話にもまずは疑ってかかるルルは自分抜きで話がまとめられるのを極端に嫌うのだ。

 とはいえ、今回に限ってはプリシラに罪悪感はなかった。

 パナムの店で深酒をして起きられなかったルルが悪いのだ。

「でも、どうしてダイアウルフはこんな南の方まで降りてきたんだろう」

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