追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
 これは、魔法を使った後に残る「魔力の残り香」だ。

 何者かが魔法を使って突風を起こした。

 周囲に物理的な影響を及ぼす魔法は限られている。触覚魔法か聴覚魔法。触れられた形跡がないこの状況で考えられるのは、後者。聴覚魔法による攻撃だ。

「おい、プリシラ! あそこ!」

 ルルが指差した崖の上──そこにいたのは、白銀の体毛に覆われた巨大な狼だった。

「ダイアウルフ……っ!」 

 やっぱり、とプリシラはほくそ笑んだ。

 先程のあれはダイアウルフの聴覚魔法だ。 

「……ね、ねえ、プリシラちゃん。なんだか大きすぎない?」

 クロエの声は小さく震えていた。

 圧倒されて当然だろう。プリシラたちを見下ろしていたダイアウルフは、牛ほどの大きさがあったのだ。

 それが牙を剥いてこちらを睨みつけている。

 はっきりいって怖すぎる。

 だが──プリシラは動じなかった。

「やっと現れたわねダイアウルフ! すぐにモフモフしてあげるから待ってなさい!」

「おい、ちょ、待てよプリシラ! どうやってあれに触れるつもりなんだ!?」

 ぎょっと体の毛を逆立てるルル。

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