追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
「簡単よ。いつもみたいに指笛を使って動きを止めてから──」

 と、プリシラの言葉を遮って、ダイアウルフの遠吠えが鳴り響く。

 同時に強烈な突風がプリシラたちを襲った。

「……っ!」

 今度はクロエもプリシラも叫び声をあげる暇はなかった。遠吠えを使ったダイアウルフの聴覚魔法が地面をえぐり、プリシラたちは木の葉のように吹き飛ばされてしまう。

「いっ……痛」 

 凄まじい衝撃だった。

 プリシラは慌てて立ち上がろうとしたが、なぜかうまく足が動かない。

 すぐにプリシラはそのことに気づいた。

 これは、ダイアウルフの聴覚魔法による弱体(デバフ)効果だ。

 三半規管への影響で平衡感覚を狂わされたのだ。フローラ魔獣生物学記に書かれていたことなのだが、プリシラはすっかり対策を怠ってしまっていた。

 そんなことを考えているうちに、ダイアウルフが音もなく崖の上から降りてくる。

「ああもう、何やってんだよプリシラっ!」

 叫んだのはルルだった。聴覚魔法でプリシラの肩の上から吹っ飛ばされたらしく、ダイアウルフのすぐそばに立っていた。 

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