白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~

   * * *


「ダメですよウィルバーさま、ドレスは繊細なんですから、丁寧に……ぁんっ」
「動くなよローザ、怪盗アプリコット・ムーンを捕まえたときみたいにうっかりドレスを切り裂いちまうぞ?」
「じっとしてますからぁ……優しく脱がせてくださいっ」
「脱がせてください、なんていやらしいおねだりだな、わかったよ」

 互いに婚礼装束のまま王城から逃亡し、アプリコット・ムーンの花が咲き誇る自分たちの愛の巣へと車で帰還したウィルバーは、花の離宮の主寝室へ入るやいなや、攫ってきた花嫁を寝台の上へ放り投げ、濃厚な口づけでローザベルを翻弄させた。
 優しく脱がせてください、と懇願されたウィルバーは、眠っていた彼女を起こすために服を脱がせて身体を重ねたことを思い出し、ニヤリと笑う。

「優しくするさ――……」
「んっ……あ、そんないやらしい手つき恥ずかしいですっ」
「ゆっくり優しくしてるんだから文句言わないの」
「はぅうん……」

 手と口で愛撫をしつつ、ウィルバーは彼女を焦らしながら重たいドレスを脱がせていく。
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