仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う

コンコン
『どうぞ』
『失礼いたします。おはようございますユーリスさま』
『フローラ壌!なぜ朝からあなたがここへ?』
仮面を被りすっかり支度を整えフローラの活けた花の前に佇んでいたユーリスが驚いた顔をする。
『うふふ、ベリルさんの代わりに私がユーリスさまを起こしにきました。ユーリスさま、外はとってもいい天気ですよ!朝食前にお庭でお散歩しませんか?』
『そうだね清々しい朝だ』
散歩に同意してフローラの許へ来たユーリスは振り返り花を見た。
『花ありがとう。とても癒やされるね』
『気に入っていただけてうれしいです』
『では行こうか』
甘く微笑むユーリスのエスコートでふたり寄り添って庭へと赴く……。

希望的観測も入っているシュミレーションをしてうふふふふ〜っとにやけたフローラは居住まいを正す。
ちょっとしたいたずら心で来てしまったユーリスの部屋のドア前。
(ユーリスさまびっくりするかな?)
期待を胸にドアをノックする。


コンコン


…………

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