仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
ベッドを見れば四面のうち横一面の天蓋が薄いレースになっていて隙間からベッドの上がなんとなく人の形に盛り上がっているように見えて声をかけてみた。
「ユーリスさま、寝てらっしゃいますか?朝ですよ」
するともそっとその盛り上がりが動く気配がした。
(やっぱりユーリスさままだ寝てらしたんだわ)
男性の寝てるところを見たことがなかったので急にドキドキが増してきたフローラはゆっくりとベッドに近づく。
そして目に入ってきたのはベッドサイドテーブルに置いてある白い仮面。
あの仮面は陶器製なのだろうか?
とても艷やかで綺麗だとフローラはいつも思っていた。
ユーリスの骨格に合わせているのだろう、顔にピッタリとはまり隙のないその仮面はどうやって作られてるのか興味がそそられる。
(ちょっとだけ、触ってみたい)
フローラがテーブルに近づきその仮面に触れようとしたときだった。
「誰だっ!それに触るな!」
「はっ!ユーリスさま?」
「フローラ壌?そこでなにをしている!?」
「あ、あのっ……」
「男の寝込みに忍び混むなどなにを考えてるんだ!」
今まで聞いたことのないユーリスの怒声にフローラは驚いて声が出ない。

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