訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜

「シオリ様については理解頂けた様なので、本題を申し上げます。
 シオリ様には以後、我が国…ジュノで暮して頂きたいと考えております」
「「「………は?」」」

皆、口をポカーンと開けて茫然としてる

「ちょ、ちょっと待て…下さい」

蓮が辛うじて敬語

「それはつまり、この世界から居なくなるって事ですか?」
「左様です」

蓮から軽い殺気が

「…俺から栞を奪うつもりなら、連れて行かせねぇ」
「俺も、姉さんと離れるつもりは無い」

紫音まで
いや、楼や春まで警戒し始めちゃった
そんな雰囲気の中、ソルは笑顔で

「では皆さん、一度いらして下さい」
「「「……は?」」」
「シオリ様にも話されましたが
 国王はシオリ様のご家族がいれば連れて来る様にと仰せられました。
 良ければこちらに住んではどうかという話も」
「「「………」」」
「栞、ホントか?」

蓮が不安な表情で聞いてくる

「うん」
「栞は、どう…考えてるんだ」
「二度とこっちに戻れない訳じゃないし…、それにね?」
「?」
「少し行ってきただけで分かった
 あっちの世界では、私の力は普通なの
 それに、私の力が必要とされてるみたいだから」
「シオリ様が、必要なのです」
「…」
「正直に言うとね、嬉しかったんだ
 ここ(桜井組)で私は鷹として動いてた、そうするしか出来なかった
 でも必要無くなって、これからどうしよって思ってた
 ソルが現れて、急に異世界に連れられて困ったけど
 私を必要としてくれる人達が大勢いたの
 その人達の為に、私は…自分の意思で力を使いたい」
「…」
「俺は姉さんに付いていく」
「紫音…」
「姉さんが自分で決めたんなら…、何も言わない
 それに話を聞く限り、離れずに済むんだよね? なら俺は良いよ」
「ありがと、紫音」
「…栞」
「楼…」
「不定期でもいいから戻ってこい。それが無理なら《テレパシー》でも使って連絡しろ」
「うん、ありがと」

自然と皆の視線は蓮に
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