愛を知らない操り人形と、嘘つきな神様
キッチンの前には紫色のテーブルが置かれていて、その後ろには紫色のベッドがあった。ベッドの向かいには紫の整理タンスと紫の衣類ばかりがかかったハンガーラックが置かれている。
いくらなんでも紫ありすぎやしないだろうか?
ベッドの上にある布団まで薄紫だし、本当に不自然なくらい紫が多い。
「紫の家具多すぎないか?」
「ああ、うん。俺紫好きだから」
そう言うと、阿古羅は顔を俯かせた。
「ふーん」
なんで好きなものの話してるのに下向くんだ?
聞かない方がよかったのかな。
「うわっ、布団ぐちゃぐちゃだな」
掛け布団がぐちゃぐちゃになってるのを見て、阿古羅は顔をしかめた。
急に話を変えられた。
やっぱ聞かない方がよかったのか。
「とりあえず海里はベッドで寝て。すぐ整えるから。俺は寝袋で寝る」
阿古羅は布団を直すためにベッドのそばに行こうとした。
「阿古羅、俺、寝袋で寝ようか?」
俺はベッドに向かおうとする阿古羅の服の裾を掴んだ。
「それはダメ、絶対。あんな夜中に自殺しに行ったくらいだし、お前虐待のせいで睡眠浅いんだろ? だったら絶対ベッドの方がいい」
阿古羅が俺の手を取って言う。
「……なんで?」
「ん?」
阿古羅は不思議そうに首を傾げた。
「何で阿古羅は、俺のことそんなに気遣ってくれんの?」
「お前が虐待を受けてたから」
「それはそうだろうけど、他にも理由があるんじゃないのか?」
行動が変なことは本人には言わない方がいいと思ったから、言い方を変えてみた。
「んー、海里と友達になりたいと思ったから、じゃ駄目か?」
阿古羅がベッドのそばに行って、布団を直しながら言う。
「え? 友達?」
俺は目を丸くする。予想外の答えだ。
「ああ。簡単に言うと、海里が放っておけなかったんだよ。そんだけ」
俺は眉間に皺を寄せた。
……本当にそれだけか?
「なんか照れるし、もうこの話やめていいか?」
阿古羅が顔を赤くしながら言う。
「うん」
俺は渋々頷いて、布団を直すのを手伝うために阿古羅のそばに行った。
「手伝ってくれてサンキューな。それじゃあ海里、とりあえず今日は俺のベッドで寝て。これもう決定だから」
布団を直し終わったところで、阿古羅は言う。
「うん、わかった。ありがとう」
俺は笑って頷いた。
「ん」