あなたとはお別れしたはずでした ~なのに、いつの間にか妻と呼ばれています~
(あれから、もう半年経つのか……)
あの朝、目覚めたら和花の姿はなかった。
一晩中愛しあったから、和花との関係は元通りになったと油断していたのかもしれない。
和花の温もりの残るベッドから起き上がると、部屋の中はシンと静まり返っていた。
もう昼近い時間だった。慌てて着替えて、和花のアパートまで車を走らせた。
(和花!)
そこにも和花はいなかった。大翔や佐絵子のマンション、銀座の画廊があったビルの辺り。
樹が必死で探しても、和花は見つからなかった。
大翔と佐絵子に何度も確認したが、彼らも和花と連絡が取れず焦っていた。
『兄さんがなにかしたのか! あれほど、和花を傷つけるなって言っただろ!』
一度だけ和花と会ったことを話すと、大翔と佐絵子からは軽蔑の眼差しを向けられた。
ふたりは二度と樹を許してはくれないだろう。
(和花! どこに行ったんだ!)
ふたりが離れていた時間を埋めるように、何度も愛しあったはずだった。
あの夜は樹の要求にすべて応えてくれた和花が、なぜ姿を消したのかわからない。
決して嫌われてはいないと思えたのに、樹の胸には虚しさだけが残った。
どんなに身体を繋いでも、樹は和花の心までは取り戻せなかったのだ。