あなたとはお別れしたはずでした ~なのに、いつの間にか妻と呼ばれています~
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画廊からの帰り、信号待ちで停車したとたんコンビニの前で仲良さそうに笑っている親子連れの姿が樹の目にとまった。
よく見たら、その母親は和花だ。
岸本が『外出している』と言っていたのは子どもと一緒だったようだ。
あの幼い子が、井上が知らせてきた和花の息子なのかと思うと心臓が跳ねた。
(あのメガネの男性が父親なのか?)
うしろからクラクションが鳴らされた。
和花たちに気を取られて発進が遅れたのだが、もう一度確認することもできないまま樹はアクセルを踏んだ。
井上からのメッセージを読んでから、平静ではいられなかった。
だが、彼にも顧客との約束もあれば裁判もあるのだ。昼間に個人的な用事で動ける時間はあまりない。
やっと和花の店に来てみたら、あいにく不在で応対してくれたのは岸本晃大だった。
(きっと俺と和花とのことを知っているんだろうな)
彼の態度と視線は一致していない。樹のことは和花を傷つけた男と認識されているのだろう。
(和花の子供の父親は、岸本ではなさそうだ)
岸本の表面的には慇懃な様子から、彼が和花となにかあったとは考えにくい。
それよりも。さっき見かけたメガネの男性が父親なのかもしれない。
和花の表情はわからなかったが、自分と別れてすぐにあの男と付き合ったのだろうか。
運転しながら、樹は考えても考えても答えが出なくてイラついていた。
次第にやり切れない思いで胸が痛むほどだった。