恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
”うん、もちろんいいよ”

そう言われるものだと思っていたからこそ、ありがとうございます!と笑ってお礼を言う準備をしていた。
それなのに喉の奥でそれが止まってしまい、私は笑顔だけ向けたまま

「ダメ、ですか…」

そう言った。

「もちろん、ダメだよ」
「…」

何故だろう、千秋さんはいつも寛容だ。大きな心で私を見ていてくれる。
それなのに、どうしてアルバイトはダメなのだろう。
胸の奥に燻った思いは結局宙ぶらりんの状態で残る。

とはいっても、これで諦めるほど私は物分かりがいい方ではない。
実はすでにいいなと思うバイト先をチェックしているのだ。

平日、3.4時間程度のアルバイトとなると結構難しそう…
と思っていたが、ウェブサイトで喫茶店の求人が掲載されていたのをついこの間見つけた。
日中だけでいいらしく個人店だから融通も利く。
そこで面接の申し込みの電話をしたいと思っていたのに。


寝る前に私はもう一度千秋さんに尋ねる。

「どうしてアルバイトは反対なんですか」

ベッドに二人で入って枕元の電気を消そうとする千秋さんにそう聞く。
彼の手が止まった。
ゆっくりと私の方に顔を向けて

「困るからだよ」
「困る?」
「君は自分が思っている以上に魅力的なんだよ。わかる?」
「…いえ、」
「他の誰かが桜子に興味を持ったりするんじゃないかなって。俺みたいに」


オレンジ色に照らされる千秋さんの顔はやけに色っぽく私の目に映る。
千秋さんこそわかっていない。別に私はモテないし好意を向けられても私はあなたしか好きじゃないのに。


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