恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
「白川瑠璃子さん!」
「へ?」

グレーの上質なスーツからのぞく腕や首はびっくりするほど白い。それとは対照的に顔は真っ赤で、ついでに目も真っ赤だ。
泣いているせいでアイラインが滲んでいる。私は声を張り上げて言った。

あなた誰ですか、というか細い声を無視して

「泣いてる暇があるなら探しましょうよ!」
「え…」
「社外秘の資料を持ち出してしまったことを悔いたって仕方がない。もう時間は戻せないんだから!でも今はそれを見つけ出すことが一番でしょう?泣いてる暇なんかないと思います!」

周りの社員だけじゃない、道行く人の視線を浴びても関係ない。

「よーく思い出して。本当に電車に乗って…そのまま真っ直ぐ会社へ?ほかに寄ったところはないですか?」

白川瑠璃子さんはうんと頷く。
千秋さんがいつの間にか私の背後に立っていた。

「桜子の言う通りだ。一応JRには連絡して確認してもらってるけど今のところそういった届け出はないみたい。電車に乗っているときは座席に座っていたらしくて、その時鞄は自分の膝上に抱えるようにして持っていた。そうだよね?」

彼女が数回頷く。


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