煌めく星を君にあげる
「それいい案だね!でもよかったら、今から少しデートでもしない?今は夜中だから誰にも気付かれずにデートできるし」

リリーが返事を返す前に、アレクはリリーを抱き上げていた。そしてそのままバルコニーから飛び降りる。

飛び降りたなら、普通は落下して怪我をしてしまうだろう。しかし、アレクはリリーを抱き上げたまま宙に浮いている。

「あなたと空中散歩をするなんて、久しぶりだわ」

リリーが笑うと、アレクも嬉しそうに笑ってリリーの鼻にキスを落とした。

「あなたの翼となりどこまでも飛んでいきますよ、お姫様」

そう言うと、アレクはゆっくりと夜空の中を飛び始める。リリーは一気に近く見える星たちを見つめた。

アレクの国では、稀に魔力を持って産まれる子どもがいるという伝説がある。リリーは信じてはいなかったが、アレクが魔法が使えるため、信じるしか道はなくなってしまったのだ。

アレクは幼い頃から様々な魔法を使い、苦手な科目を勉強する際、先生にいたずらをして授業ができないようにすることもあったらしい。そんな話を聞くたびに、リリーは笑ってしまうのだ。
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