幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
 協力する、とは言ったよ。たしかに。
 でも、あんな演技の相手をするなんて聞いてないって。

 間近に迫ってきた璃音の、長い睫毛に縁取られた大きな瞳や、艶めいた唇を思い浮かべ、また、顔がほてってくる。

 まじで焦った。
 でも、焦る必要はなんて、本当は微塵もない。

 璃音が本気でわたしに迫ってくる訳がない。
 だって他に好きな人がいるんだから。

 そう思ったとたん、なぜだか胸の奥がぎゅっと締め付けられた。
 
 ーー〝おとうと〟なんだろ?

 さっきの璃音の声が耳から離れない。
 そう、弟だよ。
 もちろん、弟なんだけど……

 あー、頭が混乱してきた。

 わたしは自分の部屋に飛びこみ、ベッドに横になって、頭から布団を被った。
 でも目が冴えて、何度寝返りを打っても、眠りが訪れる気配はなかった。
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